もともと私の生まれた実家は造り酒屋でした。
秀吉公とゆかりが深く、日本三大山車祭りのひとつ「長浜曳山祭り」の舞台としても有名な
長浜八幡宮前で明治・大正・昭和と代々酒造りの伝統が代々受け継がれ長浜の人々に親しまれてきました。
その後、私が生まれた昭和49年、激動する酒造業界の流れのなかで実家の酒造会社を含め
長浜市内8酒造会社の協業組合による酒造りに切り替わり、
私も大学卒業後、この会社に勤め酒造りの様々な事を学びました。
しかし平成に入りこの協業組合が廃業をすることになり、酒造免許も消滅することになりました。
すでに実家に酒蔵の建物はなく、協業組合の工場も解体、酒造免許も消滅という状況でしたが、
地酒の魅力に引き込まれ、生まれ育った長浜での酒造りにかける思いをあきらめきれなかった私は、
新しい自身の酒蔵を築くことを決意しました。
酒酒造りの要となる水などを条件に長浜市内で物件を探し、
長浜市榎木町に良質な地下水が豊富で立地も理想的な空き工場を見つけました。
2010年9月に佐藤酒造株式会社を設立。 金融機関から資金を調達して工場地を取得し、井戸を掘り、酒造設備を整えました。
そして膨大な資料を整え2年掛りで2011年3月にようやく念願の清酒・リキュール製造免許を取得。
地元説明会を経て、長浜市榎木町にて佐藤酒造株式会社を正式に発足しました。
いよいよ念願の酒造会社をスタートさせましたが、初めての設備、今まで経験してきた大型仕込みと異なり、
手作業による小仕込みで思うような酒が出来ず悪戦苦闘の毎日が続きました。
酒造りの先輩や酒類指導官に指導を仰ぎ、自らも日記や経過簿に仕込み経過や課題をつづり、
洗米の吸水時間などの原料処理方法、仕込み配合や温度設定など、
3年あまりの歳月をかけて理想の酒を目指し日夜研究をしてきました。
一方で湖濱ブランドの定着に向け試飲即売会や酒の会なども積極的に行い、
お客様の評価を聞き、どんな酒を造りたいのか、自分の中で考えをまとめていきました。
このような試行錯誤の甲斐もあり、2014年秋からの酒造りでようやく思うような酒が出来はじめました。
この年の新酒しぼりたてが高評価を頂き、続く2015年3月には「湖濱 特別純米酒」が
日本航空ジャパンプロジェクト滋賀で採用され、 JAL羽田空港ダイヤモンドプレミアラウンジで提供して頂きました。
また同年9月にはロンドンの高級百貨店“ハロッズ”で開催された
「酒ソムリエ協会」主催のロンドン酒チャレンジ2015に「湖濱 特別純米酒」の
海外輸出パッケージ「大湖 特別純米酒」が金賞を受賞するなど、大きな転機を迎える年となり、
酒造りへの手ごたえを感じられるようになりました。
本年開催されたロンドン酒チャレンジ2016でも「大湖 特別純米酒」が
大吟醸クラスのエントリー酒の中、銀賞に選ばれ2年連続の入賞となりました。
様々な方の支えを頂きようやく2016年に創業5周年を迎えることができ、
酒造会社として基礎が出来たと感じられるようになり、
今後はさらに郷土色と個性を出した酒を醸し、皆様にお届けしたいと考えています。
弊社のお酒を販売頂く酒販店様、お料理店様、
そして愛飲頂いている皆さまとの繋がりをさらに深め、広げていけるよう、
今後も全力で酒造りに向かって参ります。